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駿台甲府高校卒業生の企業訪問!

今回から駿台甲府高校卒業生の企業訪問をさせていただくことになりました。
まず第一回目は12期生 古屋正貴(ふるやまさき)君の登場です。

古屋君は国際基督教大学教養学部社会科学科を卒業後、宝石輸入卸販売会社に就職。その後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて経営学修士(MBA)を取得。卒業後は大手のコンサルティング会社で活躍するも2007年にお父様が急逝され、その後を継いでお父様が経営されていた株式会社日独宝石研究所へ入社、現在同所所長として活躍中です。また、宝石鑑定士としても1998年に全国宝石学協会 (C.G.J.)。1999年米国宝石学協会G.I.A.(G.G.)。同年ドイツ宝石学協会D.Gem.G.(F.G.G.)。2000年には日本人初のヨーロッパ宝石学協会European Gemmologistの資格を受ける。さらには、スポーツでもボディビルディング1997年全国大会ジュニアの部6位の実績を持っています。

そんな古屋君に小山田編集員(12期生)が突撃インタビュー。

小山田 こんにちは。今回取材をさせていただきます小山田です。宜しくお願いします。まずは企業の概要から教えてください。
古 屋 僕たちの会社は宝石の鑑定・鑑別をやっておりまして、宝石が本物か偽物かということとどういう品質のものかということの証明書を書かせていただく事業を行っています。宝石に関わる事業なのですが、売買はしていません。
当社の一つの特徴は、研究機関というのは東京、大阪とかの会社が日本ではメジャーなのですけど、地元山梨で地域密着の事業を行なっているということです。山梨は地場産業で宝石産業があります。実は山梨には卸屋さんは多いのですけど、小売屋さんはあまりないのです。
その中で卸の段階で鑑定や鑑別に来るということは、宝石が海外から入ってきた段階で、それが本物なのか偽物なのか、つまり日本では宝石はほとんど採れないですから、海外から輸入されて、甲府を経て、日本中に出回っていく。それを、最初の段階でどういう品質なのかをチェックさせていただくという、宝石の街・甲府ならではの地元に根ざした事業を行なっています。
小山田 それで業者の方がお客さんなのですね。
古 屋 はい、また甲府に根ざしてる事業という特徴の他に、先代の父もずっと宝石業界で仕事をしており、父は本当に宝石が好きでこういう研究所っていう事業をはじめたのですけれど、宝石業界に身を置く中で個人で一万点を超えるコレクションがありました。それを元にして・・・
小山田 お父様のコレクションが鑑別の見本になるわけですね?
古 屋 そうです。それを標本として使ってやっていくと、通常の鑑別機関ですと、それが本物か偽物か止まりで終わってしまうところが多いのですけど、たとえば最近ですと、食品でもどこどこ産っていうのが書かれていますよね。あれと同じように宝石の産地まで特定していこうということを当社では頑張って行なっています。
小山田 宝石を見てわかるのですか?
古 屋 すごい目利きになるとわかるようになります。正直、僕なんかはよくわからないのですけど、うちのスタッフは結構わかります。父は目で見るだけである程度、色味の違いとかでわかったようです。ただ、今では成分分析の機械とか分光のスペクトルを計測する機械とかそういう機械があって、本来それは人の目でも見える違いの特徴としてあるものなのですけど、そういう分析機器がよりわかりやすい形にしてくれます。そういうもので検査をしていく中で、目利きの目を補いながら、調べていきます。とは言っても正直水晶みたいにどこからでも産出するものでは分からないものもありますが・・・。 あと、実は僕ら家族は以前マダガスカルで宝石を掘ったことがあるのですよ。実際に。2年くらい父と堀りに行って・・・。
小山田 掘るって?
古 屋 シャベルカーで山掘って、宝石を探す山師です。たぶん、日本中のどこの鑑別屋さんよりも 石を採るのがどんなに大変か知っていると思います。どう大変かっていうと 全然採れなくて、損ばかり溜まっていった中、マダガスで内戦が起きて逃げ帰ってきたほどですから・・・。(笑)そういうこともあって宝石がどういう風に地球から人に与えられるかっていうのは分かっていますし、父は以前貿易商をやっていたので、宝石が日本にくるところも見ていますし、またシンガポール、スリランカのパートナーの会社がカットをやっていますし、そういうところに何度も行って、どういうことを実際にやっているのか自分たちで見ていますし、そういうところが他とは違うと思います。「宝石ってこんなに貴重なものなのだよ」っていうのを感じながら仕事をしているっていうのは他とは違うと思います。ただ業界不況なので・・・いろいろ大変なことばっかりなのですけど、今はがんばっていこうと思っています。
小山田 地場産業ですものね。
古 屋 最近、バブル崩壊から20年弱ぐらいずっと不況だ、不況だって言われていますけど、バッグやアパレルの高級ブランドの売り上げって実は下がっていなくて伸びていたりします。そういうのを見ると宝石だけ売れないっていうのはおかしいのですよ。きっとぼくたちが価値の遡及の仕方を間違えた、まぁ適当な商売をしていた人が多かったのだと思いますけど、業界の方向性をまた正しい方向へ持って行けたらなと強く思っています。
小山田 その中で古屋さんはどんな仕事を担当しているのですか?
古 屋 僕たちが小さいときの宝石のイメージっていうは、ルパン三世とかが奪いに行くようなすごいものだって感じでしたよね。宝石には人の憧れというか魅力があったわけですけれど、最近どうもそうじゃなくなってきている。宝石に対してロマンが失われてきてしまった。お客さんに対して「宝石ってすごいものですよ」って思ってもらうことが僕の役割だと思っています。宝石の産地ってすごく危なっかしい所が多いのです。アフリカの奥地であるとか、そういうところからいろいろな人の手を渡って、思いを背負って、ここまで来ているということを証明書の中で表現することで、宝石のロマンを感じていただければとそれを目標にやっています。 役職的には一応代表取締役をしています。急なことだったのですけど、一昨年、父が急に亡くなりまして、そこで当時、会社勤めをやっていた僕がこれは大変だっていうことで、呼び戻されまして・・・。
小山田 でも「いずれは」と思っていらしたのですか?
古 屋 えぇ、でもずっと先の話だと思っていました。急遽、山梨に帰ってきて仕事をするようになりました。それで僕よりスタッフのほうが宝石のことを分かっています。それは仕方のないことですが、その中で以前、マーケティングのコンサルタントをやっていたのですが・・・、
小山田 東京で?
古 屋 はい、それで、そのときの経験を生かして、お客さんにどういう風に商品を売っていけばいいかという提案を含めながら、お客さんが気付いていない宝石の魅力をなんとか伝え、通常の鑑別所ではなく、プラスアルファの部分でやっていっています。そういうことが僕の仕事です。
小山田 今回は高校の同窓会ホームページということなので聞いちゃいますけど高校時代に培われて今役立っていることはなんですか?
古 屋 高校時代に培われて、今役立つこと。それはすごくたくさんあります。先生を立てるため、勉強のことで言えば、僕は文系で経済専攻だったのですけど、僕らの時代は理科の授業を物理、化学、生物と全部やったのですよね。
小山田 そうでしたね。
古 屋 宝石を鑑別という観点から見ればそれは化学物質ですので、化学の知識も必要ですし、結晶の成長について見れば、物理でやっていたような知識も使うのです。そういうのが文系卒でありながら、高校の頃全部やらされたが為に、分かるってほどではないけど、がんばればついていけるっていう知識が、役に立っています。駿台で勉強したことでは、それが一番活きていますね。 そういう勉強のことだけでなくて、クラスがすごく仲良かったっていうのもあるのですけど、何か新しいことをやろうとしたとき、ホームページを作ろうとしたときとか、科学的な実験装置を買おうとしたとき、あいつに聞けば教えてもらえるっていう人がいるのですよ。これが残念なのは同窓会のほうには関わってないのですけど、駿台生の中でそういうのは誰に聞けばいいのかっていう・・・。
小山田 そういうネットワークができれば?クラスだけじゃなく同窓会全体でということですよね?
古 屋 その通り!駿台って学校自体のまとまりって正直なかったと思うのですが、すごい人がたくさん集まっていたでしょ。もうちょっとそれが使えればいいかなって思っています。
小山田 実はホームページの中でそういうことができるようなシステムになっています。以前ご自宅の方にパスワードが送られているはずなのですけど・・・。それを運営したくてホームページでいろんな企画をやって、それで口コミで広がって使ってくれる人が増えればと思っているのです。今、ホームページにログインできるところがあります。そこから入ってもらうとわかりますけど、そういうシステムが昨年から稼働していますので、今後活用していってもらえればと思います。
古 屋 駿台で勉強したことも役立っていますし、個人的な付き合いの中で、狭いですけど、すごく活きています。それがこのシステムで広がるといいですね。
小山田 そういえば駿台の同級生と東京で無尽をしていますよね?
古 屋 最近行けてないですけどね・・・。東京にいたころは不思議ですけど月一、二回のペースでやっていました。僕のクラスは三年間一緒だったってこともあって仲良くやっていました。ただ付き合いがなくなった人とは全くコンタクトがないのでもったいないなと思っています。
小山田 そうですよね。今回のこの企画がもとで駿高のネットワークが復活するといいですね。唐突ですが古屋さんの今後の目標、方向性なんてあれば聞かせていただきたいのですけれども。
古 屋 通常、鑑別屋さんっていうのは業者さんからお仕事をもらってやっていくのですけど、それ以外に一般の消費者の方に「宝石ってすごいよね」「欲しいよね」って思ってもらえるように一般に対しての情報発信ですとか、鑑別の仕事とかやっていけるといいなと思っています。父が生前、テレビショッピングの解説をやっていたことがありまして、あれリアルタイムなのですよ。宝石の説明がうまくできると、モニターで今、いくつ売れているのかわかるらしいのですよ。すごく楽しかったみたいです。理想的には、エンドユーザーの人に宝石って「こんなに採るのは大変なのだよ」「こんなにすごいんだよ」っていうのを伝えていきたいと思っています。 今でもいくつかの小売屋さんに応援をさせてもらっています。小売屋さんにお客さんを集めてもらって、こういう新しい宝石があります、とかまた今までの宝石についても、宝石の特徴ですとか、こういうふうに使うときれいですよっていう説明をさせていただいています。そういうような形の接点を持つことが目標です。そして、本が書けたらいいなと思っています。業界向けの情報誌はいろいろやらしてもらっていますけど、一般の方向けの本が書けたらなって思っています。
小山田 実はホームページの中でそういうことができるようなシステムになっています。以前ご自宅の方にパスワードが送られているはずなのですけど・・・。それを運営したくてホームページでいろんな企画をやって、それで口コミで広がって使ってくれる人が増えればと思っているのです。今、ホームページにログインできるところがあります。そこから入ってもらうとわかりますけど、そういうシステムが昨年から稼働していますので、今後活用していってもらえればと思います。
古 屋 何か山梨で団体に所属していらっしゃるのですよね?
小山田 えぇ、団体に所属しているというか会の立ち上げに参加しています。 山梨水晶会議っていうNPOができまして。山梨県って昔、水晶が採れたのですよ。乙女鉱山とか昔はいい物がたくさん採れたみたいです。
古 屋 金桜神社っていうのが昇仙峡の上にあるのですけど、そこのご神体の水晶も一度見せてもらいましたけど、昔のものとは思えない、立派なものでした。 ただ乙女鉱山が閉山してしまってから、水晶が採れなくなって、その代わりブラジルから原石が送られてくるようになって、それを加工していたのですけど、それが昇仙峡とかのお土産屋さんに並んでる時期もありました。そうやって一度産地と製作地が離れ、そこになにかの縛りがないと、モラルが落ちて行くのですよ。水晶も天然の物(写真右)だと、ゴミや傷があったり、色が茶色っぽいのです。そういうときに業界は合成水晶(写真左)を使っていくようになっちゃったのですよ。人工的につくった水晶です。これは電子部品で使われる水晶振動子の元なのですけど、この質の悪いのが宝石用に回ってきて、“本水晶”という名前で扱うような業界になってきたのです。 こんな状況になってしまうと、製作するのも山梨じゃなくてもいいわけで、昔は鉱山があってそれを加工する人がいてっていう産業がありました。それが廃れてきてしまったのです。元々、水晶を研磨する職人がいたから、色石(例えば、ルビー、サファイア、エメラルド等)の加工に広がり、さらにジュエリーの街になってきたのです。しかし、大元であった水晶産業がインチキな方向に行って、さらに追い打ちをかけるように不況の中でジュエリー業界全体が低迷してしまった。この状況を打開するため、もう一度、原点に返り、山梨の産業の基本からやり直そうっていうことで、乙女鉱山の保護、水晶研磨師の保護を目的としたNPOを設立・運営を進めています。
小山田 本物を扱おうと?
古 屋 えぇ、乙女鉱山は現在、立ち入り禁止で掘ることはできないのですけど、まずは海外のものでも、とにかく本物を使ってやっていこうということや、高い技術のある職人さんに対して適切な給与が払えるように、「ちゃんとしていることをちゃんと扱う」という目的のNPOを立ち上げようとやっています。 それも新参者の僕がやっていることでなくて、他に当然中心となる方がいらっしゃって、以前、父に相談を仰いでいたのですけど、父の代りに僕がかかわることになりました。研究所代表ということで加わっています。
小山田 ここで折角の同窓会のホームページということで、古屋さんの所に「駿高の同窓生です」と言ってもらえばこんな特典がありますということをお願いしたいのですが・・・。
古 屋 当社は、ほとんど業者さんから仕事をいただく業務でして、同窓生に対して特典になるようなことはあまりないのですが、個人の方を相手に「なんでも鑑定団」のように宝石の鑑定、本物、偽物っていうことは出来るかもしれません。 「何でも鑑定団」に出す前にうちに持ってきてください。本物か偽物かっていうのはわかりますし、実際にいいものかどうなのかっていう説明はできます。婚約指輪から相手の本気度が分かるかもしれないです。また、ご遺族の形見を手放すっていうのは何ですが、仏壇にしまっておけばいいのか、リフォームなんかしても毎日使ってあげた方がいいとかアドバイス出来るかもしれません。そういうことにちょっと使ってもらえたらなって思います。
小山田 ぜひこのホームページをご覧になった方は「駿高同窓生です」と尋ねていただければと存じます。古屋さん本日はいろいろとありがとうございました。
株式会社 日独宝石研究所

【ドイツ宝石学協会・コロンボ宝石学協会連携、宝石鑑別団体協議会会員】

山梨県甲府市古上条824-5
TEL055-243-2690 FAX055-243-8377
E-Mail:jggl@sapphire.co.jp

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