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大竹 哲朗先生 登場!!

北館が倒れるぞ

大 竹 哲 朗

 平成2年春、桜も散り、葉桜となり、陽光がまぶしい4月上旬のある日の昼前のことです。「北館が倒れるぞ」と教員の誰かが叫ぶのが聞こえました。
 平成2年春に駿台甲府高校は11期生を迎え入れていました。その中に駿台甲府高校初の女子1期生46名も含まれていました。
 女子生徒を受け入れるについては、いろいろ経緯もありましたが、県内の女子中学生を持つ多くの父母から強い要望があったことも1つの要因でした。
 創立当初より、男子の進学校を目指していた学校にとって、施設の改善や教員の手当て等々あわただしいものもありましたが、とにかく平成2年春に11期生の中に女子46名1クラスが入学してきたのです。
 「北館が倒れるぞ」と声があったのは、その女子生徒が担任のH先生に引率されて、中庭を2列で体育館に移動するときのことです。すでに2時間目の授業の始業ベルは鳴り、各クラスの授業は始まっていましたが、北館の窓側の男子生徒(上級生)が移動する女子生徒を発見し、「女子だ」と叫ぶと、北館の2階から4階までの窓全部に、授業中にもかかわらず、男子生徒が顔を出し歓声をあげたので、これを見た教員の一人が、「北館が倒れるぞ」と表現したのです。
 このように女子生徒の受入れには、在校生にも教員にもいままでにない刺激と戸惑いを与えました。
 教員の側も、ときの普通部長(普通部で一番偉い人)ですら女子生徒のクラスで最初に話をした時には顔を赤らめるほどの緊張でした。
 このように学校全体にも、特に学年の教員には女子生徒の指導に気遣いの多い3年間でした。西館3階の女子スペースの見張りなども思い出します。
 いまでは駿台甲府高校の名物となった、3年生の夜間特別学習などもこの11期生より始まり、深夜、女子生徒の帰宅の心配、夜食の手配、等々、特に大晦日より元旦までの、オールナイト学習の女子参加など、受入れ態勢の心配もありました。
 「おまんとう、そんなに騒いじょし」と方言丸出しで引率した、北海道修学旅行の夜行寝台もありました。
 このような女子1期生を含む、11期生もすでに30歳も半ばとなり、男女共出藍の誉れが多く、テレビや新聞等でその活躍を知るのは何よりの楽しみです。

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