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駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報 ドクターリレー Vol.9

伊藤 千明(21期 飯富病院勤務)

今回は駿台甲府高校21期卒業、自治医科大学出身の伊藤千明が担当します。
ドクターリレーVol.1を担当した市川万邦先生の高校・大学の後輩であり今回このような機会をいただきました。私はこの4月より身延町にある飯富病院にて内科医2年目、週1回山梨県立中央病院にて皮膚科医として働いています。

新しい季節をむかえ、期待とともに、そろそろ疲れも出てくる時期ではないでしょうか。このような時によく現れる皮疹が帯状疱疹です。体の片側に正中を超えず小水疱(水ぶくれ)を伴った浮腫性紅斑(赤いブツブツ)、これが帯状疱疹の特徴的な皮疹です。ピリピリとした神経痛が生じ、数日後に痛みを感じた部位に皮疹が現れてきます。帯状疱疹は水ぼうそうを起こす原因ウイルスと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこる病気です。小さいころに水ぼうそうにかかると実はウイルスは完全には消失せず、神経節に潜んでいます。自分の免疫力が下がってくると潜んでいたウイルスが暴れ出し皮疹が出てくるというわけです。免疫力が低下する原因は過労、ストレス、病気、けが、高齢化、手術、免疫抑制剤の使用などがあります。一般的に、体幹部(胸部・腹部・背中)や四肢にでたときには抗ウイルス薬の内服と神経痛に対する加療(消炎鎮痛剤、ビタミンB12など)をします。ここで注意していただきたいのが、顔面にでた帯状疱疹です。顔面には眼、耳などにかかわる重要な神経が多く、重篤な障害を起こす可能性があるのです。ラムゼイ・ハント症候群といって外耳道や耳介の帯状疱疹で末梢性顔面神経麻痺や内耳神経障害を起こすことがあります。また眼神経(三叉神経第1枝)を侵すと結膜炎や角膜炎などの眼合併症を認めることがあり、ごくまれに失明に至ることもあります。顔面に出現したときにはすぐに専門医を受診してください。症状に応じて入院加療となる可能性もあります。一般的には数週間~1か月程度で痂疲化(かさぶた)し、次第に治っていきます。ほとんどの場合、神経痛も皮疹の消失とともになくなりますが、高齢者や著しい皮疹を生じた患者さんは神経痛が残りやすいと言われています。
帯状疱疹は疲れのシグナルです。疲れたときには無理をせず、しっかりと休息をとることを心がけてもらいたいと思います。

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