駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報 ドクターリレー Vol.10
2013年6月3日
車 先進(21期 山梨県立中央病院勤務)
10回目のドクターリレーは駿台甲府高校21期卒、車先進(チャ ソンジン)が担当します。私は駿台甲府高校を卒業した後、東京理科大学を経て自治医科大学に入学し、今年の4月より山梨県立中央病院で研修医として勤務しています。前回を担当した伊藤先生は駿高の同期であり自治医大の先輩である関係から、今回このような機会をいただきました。せっかくの機会ですので山梨ではいまひとつ認知度の低い私の母校の紹介をします。
みなさんは自治医科大学という大学をご存知ですか。
栃木県にある自治医科大学は、医療に恵まれない僻地(へきち)に医療を届けることを目的に設立されました。県ごとに入試が行われ、各県から2~3名の合格者が選ばれ、全国各地から学生が集まります。
卒業後9年間は、出身県の離島や山間部などの僻地で勤務する義務があり、山梨県の場合は、山梨県立中央病院で2年間の研修の後、残りの7年間を韮崎、身延、都留、上野原などの病院で地域医療に従事します。7年間の病院勤務には、近隣の診療所に出張診療に行ったり、往診に行くこともあります。
この9年間の義務がネックとなり医学部を目指す学生には敬遠されることもありますが、僻地で活躍されていらっしゃる先生に対する地域の方々の信頼・感謝がとても大きく、やりがいのある仕事だと感じます。9年間の義務が終了しても僻地に残って地域医療に従事していらっしゃる先生方が多く、山梨はもちろんのこと、日本全国の地域医療を支えている先生方をたくさん輩出している大学です。
医学部を目指す方は選択肢の一つに検討してみてはいかがでしょうか。
では、少し医療情報を。
みなさんはめまいや立ちくらみがすると、「貧血だ」と思われることがありませんでしょうか。貧血とは血液中の赤血球が減少している状態を言います。貧血の原因には、赤血球を作れないために生じる貧血、赤血球が壊れるもしくは失われることによる貧血、他の臓器の疾患によって生じる貧血があります。貧血には鉄分を摂ると改善される貧血もありますが、消化管などの悪性腫瘍による貧血もあり、注意が必要です。貧血の症状にはめまいなどが生じることもありますが、立ちくらみなどは貧血の症状としてはあまり見られず、よくみられる症状は息切れ、疲れやすさ、動悸などがあります。
みなさんも、息切れがする、疲れやすくなったと感じることがありましたら、最寄りの医療機関に問い合わせてみてください。