駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報・ドクターリレー Vol.23
2015年8月3日
木下 朋子(14期 塩山皮フ科副院長)
このたび、思いがけずお声がかかり、寄稿の機会をいただきましてありがとうございます。14期生の木下朋子(旧姓 澤田)です。
卒業後は順天堂大学に入学し、直接皮膚科に入局しました。同大学病院やその分院で研修を受け、結婚出産後は順天堂東京江東高齢者医療センターで、外来を中心に勤務しておりました。科長がお子さんのいらっしゃる女性の専任准教授で、私が妊婦のときには地下鉄のラッシュを避けるために私の外来予約時間枠を繰り下げてくださったり、つわりがひどくげっそりしていると午前と午後の外来の合間には外来で点滴、と本当にお世話になりました。小さい子供達がいる中で勤務を続け、学会発表や論文投稿から皮膚科専門医試験まで、周りの先生方のサポート(+ちょっぴりの当時の私の若さと努力)があってなんとか乗り切ったように思います。現在は4人の子供の母親業をしながら、主人と二人で、塩山で皮膚科のクリニックを開業し、5年目になります。
皮膚科分野での最近の大きな変化というと、尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療が挙げられます。私が医師になった頃は、古典的な硫黄のローション剤や抗菌剤の内服外用治療が保険治療の中心になっていました。しかし2008年にはアダパレンが発売され、今年2015年4月からは過酸化ベンゾイル(BPO)の保険診療での使用が可能となり、日本のニキビ治療は飛躍的に世界レベルに近づきました。
化膿してしまったニキビを抑える治療から、ニキビを毛穴の詰まりの段階から進行させない治療へ。結果的に、瘢痕に残すことなくニキビを治療することができるようになりました。
今までニキビは青春の象徴だとか、年頃だからしょうがないと、そもそも病院へ行くと考えない方も多かったと思います。しかし、これらの外用薬の登場によって、実際に中高生のQOLはかなり上がってきています。一度瘢痕にしてしまったら、学生のうちだけでなく、大人になってもその痕で悩み続けるかもしれません。どこかのCMではないですが、ニキビは是非一度皮膚科にご相談ください!
1996年3月 駿台甲府高等学校卒業
2002年3月 順天堂大学医学部卒業
2002年4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院
2005年5月 順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科
2011年4月 塩山皮フ科 副院長