駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報・ドクターリレー Vol.31
2016年12月7日
山下 徹(20期 山梨県立北病院勤務 精神科医)
はじめまして。20期生の山下徹と申します。私は駿台甲府中学・高校を卒業後、山梨医科大学を卒業し、山梨県立中央病院での初期臨床研修を経て、現在は山梨県立北病院という精神科単科の病院で、精神科医として勤務しております。
今回、相川君(ドクターリレーVol.30担当)からこの「ドクターリレー」の話を聞き、31回の執筆を担当させていただいたわけですが、久しぶりに中学・高校の思い出に触れる事ができ、嬉しく思っております。また、良き友人達や、恩師の先生方のおかげで、とても恵まれた6年間を過ごさせていただいたと、改めて感謝しているところです。
さて、今回は、私が5月に参加した、熊本地震での山梨県災害派遣精神医療チームDPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)の活動について、お話したいと思います。
DPATとは、被災地域の精神保健活動の支援チームであり、医師、看護師、業務調整員に、精神保健福祉士あるいは臨床心理士が加わり、基本的には4名一班で構成されます。山梨県からは約2週間にわたり、4つの班が交代で、熊本県に入りました。私たち山梨県立北病院の班は二番手で、主に熊本県宇土市で活動し、現地の医師会の先生方や、保健師さん達と相談しながら、避難所を巡回しました。幸いにも宇土市の医療機関は復旧しており、巡回では被災者の方々の不安や心配などについてお話を伺ったり、簡単な健康講座を開いたりしました。現地では余震が続いており、巡回中にも何度も余震がありました。そのため、家で眠る事に不安があり、昼間は家で過ごし、夜の避難所を利用するという方も多くおられました。また、現地の行政職員の方など、現地の支援者も被災者であり、支援者に対する支援も必要と考えられました。避難所に来られず、自宅で孤立している方がいるのではないか、という点は心残りでした。DPATの活動を終えて、山梨でも地震が起こりえるという現実に直面し、それに対して何をしていくべきなのか、まだはっきりしない部分もありますが、1つ1つ取り組んでいければと感じている所です。
同じ県内にいながら、母校とすっかり遠ざかってしまっており恐縮なのですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。