%e9%a7%bf%e5%8f%b0%e7%94%b2%e5%ba%9c%e9%ab%98%e7%ad%89%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e5%90%8c%e7%aa%93%e7%94%9f%e5%8c%bb%e5%b8%ab%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e5%8c%bb%e7%99%82%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%83%89%e3%82%af-3

駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報・ドクターリレー Vol.44

江川(原)萌(27期生 北海道家庭医療学センター/帯広協会病院 総合診療科勤務)

 ドクターリレーVol.44を担当します、27期の江川(旧姓:原)萌と申します。大学の先輩である塩江先生からバトンを受け取りました。医科歯科は地方から進学してくる学生が少なく、その中で中学・高校の先輩の存在はとても頼もしく、駿台のつながりを感謝したのがつい最近と思っていましたが、気がついたら早10年前となっておりました。

 大学、初期研修までは東京で過ごしましたが、現在は総合診療専門医になるべく同分野の先駆的な存在である北海道家庭医療学センターに所属し、山梨から遙か離れた北海道で働いております。

 総合診療専門医は医師の中でもまだまだ聞き慣れない人が多くいる日本では新しい分野です。家庭医療学専門医と総合診療専門医は(詳細な経緯をお話しすると長くなってしまうので省略しますが)ほぼ同義です。みなさんがよく知っている臓器別の専門医とは異なり、主に地域を支える診療所や病院において、臓器にとらわれずよくある疾患を横断的に診察治療します。それぞれの専門の専門医のような飛び抜けた高度な技術は持ちませんが、フットワークの軽さとその地域のニーズに合わせて自分の診療範囲を変化させることができる柔軟性は負けません。他の職種との連携も得意です。もちろん現在も多くの先生方が地域医療を担われていますが、体系的に教育を受けられる場所はまだ限られているのが現状です。

 2017年度に所属した寿都診療所(いわゆる僻地にあり最寄りの病院まで1時間程度)では、外来で子供の風邪や予防接種に対応し、傷の縫合をして、骨折を固定し、アトピー性皮膚炎や気管支喘息、生活習慣病、そして町内すべての救急車の初療に対応します。訪問診療(写真はその一コマです。患者さんから掲載の許可をいただきました。)も行い、有床診療所のため肺炎や圧迫骨折などの入院治療も行います。また、地域の保健師やケアマネージャーとの勉強会も定期的に行っています。2018年度は帯広協会病院(帯広市にある300床の急性期病院)の総合診療科に所属しています。同病院の内科専門医は消化器内科と循環器内科しかいないため、それ以外の内科全体と救急、そして診断が付かずにどの専門医が適切か決まっていない患者さんなどの診療を行っています。また、総合診療の後期研修医としては、他の科に1-3ヶ月単位で所属させていただき、それぞれの科の勉強をさせていただいています。

 まだまだ総合診療医(家庭医療医)は数が少ないため、このような場でその存在をみなさまにお伝えできたことを嬉しく思います。地域のみなさんのために役に立つ総合診療医になれるようにこれからも精進していきます。

経歴
2009年3月 駿台甲府高校卒業
2015年3月 東京医科歯科大学医学部卒業
2015年4月 青梅市立総合病院 初期研修医
2016年4月 東京医科歯科大学医学部附属病院 初期研修医
2017年4月 北海道家庭医療学センター 寿都町立寿都診療所
2018年4月  同上 帯広協会病院 総合診療科

Sponcer