駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報・ドクターリレー Vol.55
2021年2月2日
有賀 久和(12期 内科医)
ドクターリレーVol.55を担当することになりました12期生の有賀久和と申します。
私は高校3年間ずっと出席番号がF組5番でした。
ここで、12期生の1年F組と聞いてピンときたかたはいらっしゃるでしょか。
現在もある西側の校舎の一階に、かつては保健室だったと聞いたことがある教室で毎日大騒ぎしていたクラスです。とある先生は「動物園」と称するほどの騒ぎっぷりでした。
授業中、お菓子を食べながら漫画を読んだり、トランプしたり、突然静かになったと思ったら2、3人を除いて皆んな寝てたり…。1番ウケたのは40人ほどいたクラスがある理由で突然30人くらいになった時でしょうか。
そんな毎日だったので、担任の小笠原先生から「職員室で俺が何言われてんのか分かってんのか??」なんて言われたこともありましたけど、生徒全員爆笑!さすがに怒る気も失せてしまっていたのでしょう。ホントにごめんなさい。
そんな楽しい駿台での生活の後、私は浪人して獨協医科大学へと進学し、卒業後は山梨大学医学部附属病院で研修を終え、その後紆余曲折があり現在は漢方内科として甲府市湯村で5年くらい前から開業しています。
漢方を勉強して色んな先生の本などを拝見しますと「未病」という言葉をよく使われているように思います。そしてその意味を「病気の一歩手前」と説明している方ばかりですがこれは大間違いで、未病については漢方医学の聖典と言われている「傷寒論」の基礎となった「素問」や「難經」または傷寒論の姉妹書である「金匱要略」に書いてあるのですが、それすら読んでないと仰っているのと同じです。それでも恥ずかしげもなく言ってしまえるのは、現代医学については大学、国家試験を通して最低限の知識を皆さん共有していますから間違いはすぐに分かるのですが、漢方医学はそうした基準となる書物が有っても読まないので皆さん根拠のない私論を展開しているのです。
もちろん傷寒論など読んでいらっしゃる先生方もいますが、字面を追いかけるだけで意味を考えるまでには至らず応用が効かないという有様です。
易経の繋辞伝に「書不尽言、言不尽意」という言葉がありますが、皆さんこの「意」まで理解しようとしていない状況です。
そこで僕は不才ながら父と共著で傷寒論、金匱要略の解説書「物理解・傷寒論 金匱要略」を上梓させていただきました。
もちろん私論は一切無く、漢方医学の基礎となる本を根拠として書いてあります。
かなり上級者向けの内容ではありますが、初学者の方でも何度も読むうちに著者である活人・張仲景先生の意に触れられるのではないかと思います。
もし漢方に興味がある、もっと知りたいという方がいらっしゃいましたらどうぞ遠慮なく僕の診療所へ遊びに来て頂ければと思います。もちろん漢方薬を飲んでみたいという方も大歓迎です。僕は生薬を使った煎じ薬、丸剤、散剤を処方していますので、もしかしたら顆粒しか見たことない方々は驚くかもしれませんが、本来漢方薬とはそういうものです。
以上、長くなりましたが最後まで読んで頂きありがとうございました。