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駿台甲府高校卒業生の企業訪問Vol.3
源泉湯 「燈屋」を経営する 8期生 氏原 敦さん

(聞き手 小山田久美子さん<12期生 同窓会副会長>)
小山田 今回取材させていただきます小山田です。よろしくお願いします。
氏 原 よろしくお願いします。
小山田 まず、どんなお仕事をされているか教えてもらえますか?
氏 原 「燈屋」(あかりや)といって、私が起業したお店です。スーパー銭湯の業態で、源泉掛け流しの日帰り温泉の入浴施設です。大人のお客様が900円、中学生未満のお客様が380円、3才以下は無料です。1日居られて時間制限無しでお風呂に入っていただける施設です。
お店の中にはお食事処もあって、108席、80人入れる個室、全部で200名弱が収容できます。お食事処でラーメン、そばの他、地元の素材にこだわった食事やワインを愉しんでいただけると思ってやっています。
小山田 起業されるきっかけは何だったのですか?
氏 原 本職は不動産屋で、今もそうなのですけど、甲府の中央にある㈱八光という不動産会社が大元の生業です。
小山田 そちらもご自身で、はじめられたのですか?
氏 原 いや、そちらは三代目です。祖父が創業しまして、今は父が社長を務めていますが、実質、私がそちらの仕事もしている状態です。
元々、私は不動産屋になるために勉強して、修行してきました。大学卒業後は東京の㈱大京というライオンズマンションを売る会社で営業をずっとやっていましたが、母が病気で亡くなり2000年の7月にこちらに戻ってきました。
大京っていうのは、マンション業界では圧倒的ナンバーワンのデベロッパーで、ノルマもたくさんあるし、本当に忙しかったです。そこでの仕事に慣れていましたから、山梨の不動産屋の仕事は結構ヒマに感じました。都心でやっていた頃みたいに沢山の仕事に追われるわけではなくて、自分でいろいろと考える時間がありました。 
 地元に戻ってからは賃貸管理業務が主な仕事だったのですが、そのときに「養老乃瀧」という居酒屋をここでやっていて…。
小山田 あっ、そういえばありましたね
氏 原 高校学生時代はバイトして、お酒を運んだり、そこを手伝ったりしていました。
小山田 では、オーナーが八光さんなのですか?
氏 原 そうですね。フランチャイズで一店舗を経営していました。いま、「燈屋」の敷地はその居酒屋の駐車場でして、居酒屋なのに100台以上車を停めることができました。この土地を元々所有していまして、創業者の祖父がここで何か違うことがしたいという夢を持っていたのです。違う商売って何かっていうと、ここに昭和43年(1968年)に温泉を掘りまして・・・。
小山田 この場所にあったのですか?
氏 原

ええ、ここのすぐ並びが実家で、祖父の家でした。個人宅の敷地に温泉を掘ったのです。これを使って、「いつか何か商売をしたい」、「何か人の役に立ちたい」っていう祖父の夢がありまた。
まぁ、昭和43年(1968年)当時も、近所の人に使ってもらおうとしたのですけど、当時、人間関係がうまくいかなくて、いろいろトラブルもあり、周りの人に開放するのを辞めてしまったみたいです。本人としては、いつか近所の人にも喜んでもらって、世の中の役に立って、もちろん商売の方も考えて、温泉を使った商売をしたいと考えていました。フィットネスクラブ、温泉病院、介護施設とかいろいろ候補があったそうです。そういうことを祖父がいろいろと話してくれた中で、私自身が自分の趣味で、都心のワンルーム暮らしをしていたときに周りにスーパー銭湯があって、好きでよく行っていました。それがやりたいなぁと思い、2001年くらいから検討し始めました。

小山田 山梨に戻られてからすぐでしょうか。
氏 原 えぇ、速かったですね。1年も経たないくらいではじめました。
3年間は調査と研究をしていました。最初の1年半は今でもノートに残っていますが、全部で300店舗くらい見てまわりました。
小山田 スーパー銭湯を?
氏 原 いや、それだけじゃなく、街の公衆浴場からホテルや温泉も含めてです。それから2004年の9月7日にここを始めました。
小山田 調査と計画にも3年かかったのですね。起業されるまでは順調でしたか?
氏 原 計画段階では苦労はしましたが、最初はフィットネスクラブの案がありました。あるフィットネスクラブと手を組んでやろうとしていたのですが、相手方の企業内容を調べていく内にやめたほうが良いなと決めて、僕は今やめてよかったなと思っています。今、その会社ありませんし。
小山田 そうなのですか。
氏 原 やっぱりやるからには、自分で何かやらなきゃダメだなって思ってからは、順調ではないですけど、大きな問題もありませんでした。
小山田 情熱がすごかったのですね。
氏 原 そのときに、自分の人生の師匠と呼べる方にすごく怒られたことがありました。フィットネスクラブのとき、家賃収入を当てにしていることを大反対されて、「自分で稼ぐってことはそういうことじゃない、自分自身でちゃんとやることだ」と天狗になっていた自分を諌めてくれた方がいたのです。それをビシッと言われた後に、やっぱり自分で何かしないと今以上というのは無いのだなって思いました。それから自分で経営をしようと考えて温浴施設をやろうと決めたのです。 
小山田 それが今ではこんなに繁盛して・・・
氏 原 そうですね、そのとき人任せにしないでよかったです。 自分でいろいろと見て、調査もして、知識も、経験もしたと自負しているので、今では自信を持ってやっています。
小山田 さきほどの話の中に「喜んでもらいたい」、「世の中の役に立ちたい」っていうことがありましたが、お祖父様の夢が氏原さんにも受け継がれて、その思いを大事にして「燈屋」を経営しているように感じますが・・・。
氏 原 そういうポリシーはすごくありますね。 『燈』って「火」偏に「登る」と書くのですが、「燈」という文字は暗闇を「ぽーっ」と隅から少し照らして、ほのかに、だんだん世の中を暖かく、そしてやさしくゆるやかにしていくという意味合いの仏教用語なのです。
『一燈照隅 『一燈照隅 万燈照国(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこく)』など、いろいろ『燈』を使った有名な言葉がありますが、その「燈」が集まって世の中を照らしていくという意味を持った文字です。
だから「燈屋」というネーミング自体がひとつの志なのです。やっぱり自分の周りの方々に「燈」をどんどん灯していくような人生を送っていただきたいと考えています。もちろんお店をやらしていただいているので、お客様に一番に喜んでもらいたいのですけれど、お客様の心に燈かりを灯すっていうのが会社の経営理念になっているのです。
小山田 素敵ですね。
氏 原 しかし、ここ1,2年で考え方が変わってきました。
小山田 どのように変化しているのですか?
氏 原 もちろんお客様は重要なのですが、そもそもお客様に喜んで貰う前に、仲間、従業員に喜んでもらわないと良い仕事ができないと感じたのですよ。
従業員が仕事を楽しみにしてくれないと良いサービスができないですよね。だから、いま私は自分のスタッフが大好きで、うちの従業員はそれに応えるべく、いろいろとやってくれています。
小山田 素晴らしいですね。
氏 原 清掃なんかも本当に隅から隅まできれいにしてくれますし、欲を言えば、サービスの面ではまだ至らないところもあるのですが、ただ「正直さ」ですとか「誠実さ」という部分では素晴らしいスタッフです。だから、まずスタッフの皆さんの心に『燈り』をともして、その家族が幸せになって・・・。 例えば、親子二代、三代でここに勤めたいっていう会社にここがなれば、そうすれば当然お客様も喜んで来てもらえると思います。そういう人が働いている施設はお客様も喜んで来てくれます。
山梨にくると「燈屋」っていう変わった会社があるみたいだよ。山梨といえば温泉、温泉といえば「燈屋」というふうになってもらえるようにしていきたいです。今の一番のビジョンです。
小山田 友人から聞いた話なのですが、初デートで個室を予約したら、個室にハートマークと自分たちの名前が書いてあるサプライズがあったとのことですが。おもしろい工夫ですね。
氏 原 工夫というより、楽しんでいます。子供の頃から人を楽しませるのが大好きで、そういうことを仕切るのが子供の頃から大好きな「仕切り屋」なんです。ひとつ、ふたつ参考になるレストランやお店があってそういうところがあると真似します。
青山に「カシータ」っていうお店があって、オーナーさんとも親しくさせていただいているのですけど、彼の技とか「ポケット」をたくさん見させていただいています。そこの真似が多いですね。
要はお客様に喜んでもらえるかどうかですけど、さきほどの個室で初デートっていうのは、それをやった4組は、みんな結婚しています。
小山田 素敵ですね。
こんな素敵な話の後になんですが、話はちょっと変わって高校時代にさかのぼってもらって・・・。当時男子校だった駿高に通っていたわけですが、駿高で良かったなっていうエピソードってありますか
氏 原 良かったと思ったのは人脈が拡がったことですね、もちろん東京に出てからも拡がりましたが、そもそも当時、県外から有名な灘とか開成とかに落ちて入ってきた素晴らしい寮生がたくさんおりまして、寮で何をやっていたのかわかりませんが(笑)。
それで東京や大阪など県外から来た仲間が何人もでき、今でも仲良くしています。その中で一番仲の良い友達は上海で某服飾商社の海外事業部長をしています。他にも東京で大きい会社で働いていたり、県内の同級生も成功している、成功っていうとおかしいですけど、活躍をしている、人のためになっている同級生が名前を出したらキリがないくらいいますね。同世代の仲間をみていると、「これは駿高ならでは」なのかなと思います。駿高の卒業生はやっぱりちょっと他とは違った形で活躍していると思います。
小山田 仕事で駿高の時の人脈は役立ちましたか?
氏 原 もちろん、人脈のおかげで、今、仕事として取引をしている会社もありますが、どちらかというと仕事というより人間形成として刺激を受けていますね。今も人間として一緒に切磋琢磨できる仲間がいることだと思います。
今日もヴァンフォーレ甲府の試合がありますが、わざわざ東京から来てくれる友達がいます。NTT関係の上位の役職に就いているのですけれど、そろそろ着く頃だと思います。他にも東京で活躍している同級生は大企業の第一線で活躍しているやつらばかりなので、われわれ田舎にいると中小企業のしがらみとかありますが、全然スケールが違いますね、そいつもアフリカに二年くらい行っていて光通信網をつくるとか、難しい話でよくわからないのですけど、そういう仲間がいるのも、駿高ならではでないでしょうか。
小山田 そこでお願いなのですが、そんな駿台の同窓生がこちらにお客様にもしこちらに伺ったときに何か特典・サービスをいただけるとありがたいんですがいかがでしょうか。
氏 原 はい、ぜひお越しになっていただきたいので、ただ、せっかくなら僕と顔見知りになっていただきたいと思います。フロントで名前と電話番号、メールなど、連絡が取れる情報をいただきたいです。ただの駿台の同窓生っていうより、その後もつながっていきたいので、お礼もしたいですし、こちらから連絡が取れる情報をいただきたいです。
そうすれば、まず無料でドリンクチケットをその場でお渡ししますので、お風呂あがりにいっぱい飲んでいただけたらと思います。そのとき、もし僕がその場にいたら、基本的にはいますが、その場で直接、ご挨拶させていただいて、もし食事をしていただけたら、おつまみ料理を一品サービスさせていただきます。
(*ただし、このサービスは、平成24年1月16日~とさせていただきます。)
小山田 無理言ってすみません。新しい駿台のネットワークが拡がるといいですね。これからもご活躍を期待しております。本日は有難うございました。
氏 原 有難うございました。

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