駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報 ドクターリレー Vol.12
2013年10月1日
山角 圭(22期 市立島田市民病院勤務)
今回のドクターリレーは駿台甲府高校22期卒業 山角 圭(やまずみ けい)が担当させていただきます。
ドクターリレーVol.11を担当した森澤先生とは母校である北里大学医学部で知り合い、硬式庭球部の後輩としてもとてもお世話になりました。
北里大学卒業後は、静岡県島田市という人口約10万人の田舎にある市立島田市民病院にて初期研修を行いました。現在は、卒後3年目として同病院の呼吸器内科で働いております。1年間内科医として働き、来年4月からは北里大学精神神経科にて働く予定になっています。
秋になりそろそろ乾燥が気になる季節となりました。自宅や仕事先などで加湿器を使用する機会が多くなってくるのではないでしょうか。今回はそんな加湿器が原因となって生じる加湿器肺といった病気についての話をさせていただきたいと思います。
加湿器肺とは、加湿器内で増殖したカビや細菌が加湿器を通して空気中にばらまかれ、それを吸い込み続けることによって肺でアレルギー反応が生じてしまうという疾患で、過敏性肺臓炎という病気の中のひとつになります。加湿器肺は年齢や性別に関係なくどなたにでも起こりうる可能性のある病気です。
症状としては発熱、咳、痰といった風邪のような症状が認められますが、加湿器を使用している限りは薬を飲んでも改善することはありません。症状が長期に継続し、加湿器の使用時に特に咳などが強く出ることもあります。また、症状が強い場合は呼吸困難などの重篤な状態に陥ることもあります。
検査としては主に血液検査や胸部レントゲン・CTなどの画像検査、場合によっては気管支鏡検査をすることで診断に至ることがあります。
加湿器肺で最も重要なのは、予防となります。加湿器は、加湿方法によって①超音波式②気化式③加熱式④ハイブリット式などに分けることができます。いずれの加湿器でも加湿器肺にかかる可能性はありますが、細菌の増殖や飛散に対して特に注意しなくてはならないのが①超音波式と②気化式になります。また、取扱説明書に記載されているように細菌の繁殖予防のため、毎日タンクや加湿器の手入れをすることや水道水(塩素が含まれているため殺菌作用がある)を使用するなどの注意が必要になってきます。
加湿器肺は子供から大人までどの世代でもかかりうる病気です。予防をすることがとても大切なので、この機会に一度自宅の加湿器を点検し手入れしてみてはいかがでしょうか。