駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報・ドクターリレー Vol.41
2018年8月1日
佐野 瑛貴(23期 九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科)勤務)
ドクターリレー No.41を担当します、佐野瑛貴です。
私は現在、九州大学消化器・総合外科(第二外科)に勤務し、大学院で博士号の取得を目指しています。当科では、消化管、肝胆膵、呼吸器、血管、乳腺など幅広い専門領域の診療を行っていますが、今回は若い年代でも他人事ではない病気、乳がんについてのお話をさせていただきます。
乳がんは女性の罹患するがんの第1位で、日本人女性の11人に1人がかかる病気です。芸能人の闘病が話題となることが多い病気ですが、高齢者に多い他のがんとは異なり、社会でも家庭でも重要な役割を担う40代から増加するため、本人とその家族の人生に大きく影響します。
治療は、早期乳がんの場合は手術を基本として、薬物療法(抗がん剤や内分泌療法)、放射線療法などを組み合わせた治療を行う場合がほとんどです。手術はがんを切除するだけでなく、術後の乳房の形や傷あとに配慮した手術を行います。また、近年は特に薬物治療の進歩がめざましく、乳がんのタイプや患者さん毎に異なる再発のリスクに応じた治療によって再発を予防するとともに、根治が難しい場合でも様々な治療薬の選択肢が増えています。
乳がんは早期であれば、9割以上の人は命を落とさずに治る病気です。早期の発見には定期的な検診が大切ですので、同窓生の皆様、ぜひ乳がん検診を受けましょう。また、乳がんは自分でも発見できる数少ないがんの1つです。家でのセルフチェックとともに、しこりに気づいたら早めに受診しましょう。乳がんにより引き起こされる悲しみから、ひとりでも多くの人を救えるよう、これからも日々の診療や研究に励みたいと思っています。
山梨を離れしばらく経ちますが、大都会・東京も、気候もひとも穏やかな愛媛も、暮らしやすく活気ある福岡も様々な縁に恵まれて現在に至ることをありがたく思います。どこかで機会があれば、故郷・山梨のために貢献できるよう、これからも精進したいと思います。
経歴
2005年 駿台甲府高校卒業
2011年 山梨大学医学部卒業
2011年 山梨県立中央病院 初期臨床研修医
2013年 東京女子医科大学 心臓血管外科
2014年 愛媛県立中央病院 心臓血管外科
2016年 松山赤十字病院 乳腺外科
2018年 九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)