駿台甲府高等学校同窓生医師による医療情報ドクターリレー vol.71
2024年4月15日
笠井 大 (駿台甲府18期、 千葉大学大学院 医学教育学、呼吸器内科学 講師)
18期の笠井 大と申します。今回、同窓生である早川直樹先生から引き継いで、ドクターリレーのVol.71を担当させていただきます。
私は2000年に千葉大学医学部に入学し、卒業後は千葉県で医師臨床研修を経験しました。専門として呼吸器内科を選び、千葉大学医学部の医局に所属し、研鑽を積んできました。2012年には千葉大学大学院医学研究院に進学し、2016年に博士号を取得しました。その後も千葉大学に勤務し、2017年から2022年まで診療科の教育専任医師を務め、その後2022年より同大学医学部医学教育研究室に異動しています。
呼吸器内科の臨床医としての経験を積んできましたが、現在は専門を“医学教育”に置き、医学部や附属病院での医学生や研修医の教育に携わっています。臨床医や研究医が主流である中で、医学教育に特化した医師は多くありません。しかし、どんなに優れた医師であっても、最初は医学生としてスタートし、教育を受けることから始まります。診療現場では、医学生や研修医、若手医師だけでなく、看護師や薬剤師など他の医療者の教育も重要な役割となります。そのため、教育は医師にとって不可欠なスキルであり、その効果的で効率的な方法を模索するためのエビデンスも存在します。
医学教育は講義や実技実習だけでなく、試験作成や学習者評価、カリキュラムの開発、教育環境整備、そして次世代の医師の教育能力向上といった多岐にわたる業務があります。新しい医学教育のエビデンスを創出する研究も展開されています。医学教育はこのように多様な役割があり、非常にやりがいのある領域です。
私自身も現在は1年生から6年生までの医学生の授業に加え、医学生・看護覚醒・薬学生との合同授業、学部全体のカリキュラムの調整、さらには研修医の研修管理、医学教育に関する研究活動も行っています。趣味にも近い形で医学生や研修医の学術活動指導も10年程度行っています。国際学会で英語のポスター発表や英語の論文執筆までやり遂げてくれる学生もいます。後輩たちが成長していく姿にやりがいを感じながら日々を過ごしています。
医学教育は直接的に患者を救うという点でないかもしれませんが、“より良い教育を行うことでより良い医師を養成し、その医師たちがより多くの患者を救う”という形で医療に貢献できます。もしも“教えることが好き”と感じる方がいれば、医学教育に興味を持っていただけると嬉しいです。
経歴
1982年 甲府市生まれ
2000年 駿台甲府高校卒業(18期)
2000年 千葉大学医学部入学
2006年 同大学卒業
2006年 千葉労災病院臨床研修医
2008年 成田赤十字病院後期研修医(呼吸器内科)
2009年 県西部浜松医療センター後期研修医(呼吸器内科)
2010年 国保君津中央病院後期研修医(呼吸器内科)
2011年 千葉大学医学部附属病院後期研修医(呼吸器内科)
2012年 千葉大学大学院医学薬学府(呼吸器内科学)入学
2016年 同大学院卒業,医学博士
2017年 千葉大学医学部附属病院 診療助教(呼吸器内科)
2018年 総合医療教育研修センター 特任助教(呼吸器内科)
2022年 千葉大学大学院医学教育学 講師
現在に至る
教え子である医学部6年生の国際学会(American Thoracic Society 2024)でのポスター発表(右が筆者)