駿台甲府高等学校同窓生による医療情報ドクターリレーvol.70
2024年1月14日
早川直樹 (駿台甲府18期、 国保旭中央病院 循環器内科 部長・EVTセンター長)
18期の早川直樹と申します。今回駿台中学からの同級生である古屋直樹先生からバトンを引き継がせていただき、ドクターリレーのVol.70を担当させていただきます。私は駿台中の2期生として入学しました。出身は八代町(現笛吹市)という田舎町で毎日40分以上かけて自転車で通学しておりましたが、部活で遅くなって明りの少ない道で野犬に追われながら必死に自転車をこいだことも今となってはいい思い出です(笑)。中学生活は学校側としても色々と手探りの状況も多かったとは思いますが、先生方、友人たちに恵まれ、勉強・部活なども含め非常に充実していたと思っております。特に中学時代にお世話になった先生方は皆私にとっての恩師でございます。
高校になると外部生と合流し、更に新鮮な日々を送ることができました。同じクラスには医学部志望者も多く、互いにしのぎを削っていた?時代をとても懐かしく思い出します。先生方の熱いご指導をいただいたにも関わらず志望校全滅(自己責任・・)となり、1年間駿台予備校市ヶ谷で浪人生活を送りましたが、無事富山医科薬科大学(現富山大学)医学部に進学することができました。
私自身は医学生時代の実習で内科でありながら手術(主に血管内)を行うことができて、急性心筋梗塞など生死を分ける緊急治療のスピード感や緊迫感に惹かれ循環器内科医になることを決意しました。実際研修医になり循環器の面白さ、中でもカテーテル治療の魅力に取りつかれ循環器内科・カテーテル治療医への道を歩むことになり、今に至ります。循環器の経験をとにかくたくさん積みたい、カテーテルが上手くなりたい一心で若手時代を過ごしておりましたので、働き方改革時代の今日ではもはや放送禁止状態の過酷な勤務状況もありましたが、とても充実した楽しい日々でした。
私が現在勤務する国保旭中央病院は千葉県の東端にある900症近くある3次救命センター併設の総合病院です。周囲の医療過疎の影響もあり、診療圏は人口は100万人にも及ぶため、毎日非常に多くの患者様がやってきます。循環器内科は心臓、血管病の診断から治療を担当する科で、高血圧からはじまり、狭心症・心筋梗塞、大動脈解離、静脈血栓塞栓症といった緊急疾患、また心房細動に代表される不整脈、各種弁膜症や心筋疾患、下肢閉塞性動脈疾患に代表される血管疾患、そして現在社会問題にもなっている心不全などを担当しております。その中でも私が主に担当させていただいているのは急性心筋梗塞や狭心症などといった虚血性心疾患と、下肢末梢動脈の閉塞によって下肢疼痛、虚血性潰瘍・壊死などを来たす下肢閉塞性動脈疾患の診療(カテーテル治療)です。特に近年は後者に対するカテーテル治療(EVT)の部門長(EVTセンター長)を務めており、2011年赴任時より少しずつ発展させてまいりました。その甲斐もあり現在は国内でも有数の症例数を治療する施設と成長でき、多くの多施設共同研究、学会・論文発表、カテーテル治療の実技指導、カテーテルWeb Liveなどの発信を行っております。特に我々カテーテル治療医にとって非常に大きな舞台である学会、ライブデモンストレーション(聴衆の前で実際のカテーテル手術を放映する会)におけるプログラム委員や、ライブ術者などといった大役を務めさせていただけるようになりました(2018年に初めてライブ術者になったときの感動と興奮は忘れられません)。これからも地域の循環器診療に貢献しつつ、カテーテル治療の分野においても貢献できるように臨床・研究を頑張っていこうと思っております。
最後になりますが、現在医学部を目指して勉強を頑張っている駿台の後輩達へエールを込めて言葉を送らせていただければと思います。Vol.69での古屋先生と全く同意見ですが、とにかく早く医学部に進学すること(まずは自分が入れそうなところをしっかりと探す!)をお勧めします。医師として働ける期間は限りがありますし、若手で体力が有り余っているときは意外と早く過ぎ去っていってしまいます。現在私の周りで仕事をしている医師たちや、カテーテル医として活躍されている先生方の出身地・大学は本当にバラバラです。医学部に入ることが最終目標ではなく、結局医師としてのキャリアと人生は医師になってからの努力次第ということです。どうか皆様が駿台の精神である”Challenging spirits“を持ち続け、自分の理想とする医師像を目指していってくだされば幸いです。私自身医師という職業を選んで本当によかったと思いますし、17年の年月を経てもいまだ毎日のように新しい発見、挑戦がありワクワクしながら仕事を続けられております。いつの日か駿台甲府の後輩の皆様とご一緒に働ける日が来るのを楽しみにしております。
この度はこのような寄稿機会を頂き誠にありがとうございました。母校の益々の発展と、ドクターリレーが続いていくことを祈念させていただきます。
経歴
1981年 笛吹市(旧八代町)生まれ
2000年 駿台甲府高校卒業(18期)
2001年 富山医科薬科大学医学部入学
2007年 富山大学医学部卒業
2007年 国保松戸市立病院初期研修医
2008年 千葉大学附属病院初期研修医
2009年 成田赤十字病院循環器内科
2011年 国保旭中央病院循環器内科
2023年 国保旭中央病院循環器内科 部長・EVTセンター長
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2019年JET(Japan Endovascular Treatment Conference)のLive術者
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2020年 LINC(Leipzig Interventional Course)にてVideo Live発表
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2022年JET(Japan Endovascular Treatment Conference)のLive術者
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2023年18th peripheral CTO seminarのLive術者
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2023年CCT (Complex Cardiovascular Therapeutics)のLive術者
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2023年CVIT(日本心血管インターベンション学会総会)での発表